『時々タイムスリップ』 電子レンジ編
今年も終わりを迎えようとしている。
はやー
21世紀になる!と騒いでいたのもかなり前のことのように思えるよね。
子供の頃、21世紀には車やバイクは空を飛んでいる!と思っていたのだけれど、さすがにまだ無理みたい。
まーしかし、電話から線がなくなっただけでもすごいよね。
昔に作られたあるSF映画の中。
宇宙船から降りた男が公衆電話に向かう、というシーンがあった。
ビーム砲や瞬間移動は想像できても、携帯電話は想像できんかったっちゃろうね。
そう考えると、『僕らは未来にいる』とも考えれる。
例えば電子レンジ。
火もないのに、たった数秒でチン!
クツクツになるとよ。
理屈は分かっているんだけど、不思議よね。
いつも感心してしまう。
子供の頃、『レンジでチンするだけ!電子レンジグルメ』
というCMがあった。
すごい商品が出てしまった…。
そう思った少年ありけんは、すぐに片道20分かけて近くのスーパーまでチャリをとばしたんだ。
そう、新発売『電子レンジグルメ』を手に入れてきたのである。
ふふふ…
なんてったってレンジでチンするだけだからな。
僕は説明書きを読み、早速レンジのダイヤルを回した。
ジジジジジジ…
ふふふ。
僕はレンジの前に両肘をついて様子を見ていた。
近くにいたばあちゃんも一緒に覗きこんでいる。
「こんなんで出来るとね?」
疑うばあちゃんに、僕は得意になって言う。
「まー見ときーよ!」
以前のカップ焼きそば事件の挽回も兼ねて、ばあちゃんにはいいところを見せたかった。
『カップ焼きそば事件』…
それはさらに幼少の頃の話。
初めてカップ焼きそばというものを買ってきたんだ。
嬉しくてしかたなかった。
なんてったってお湯を入れるだけで焼きそばが出来るんだからね。
「そんなんで出来るとね?」
疑うばあちゃんの前で僕はやっぱり得意である。
いつも作るインスタント袋焼きそばは、麺が水分を全部吸いとってくれてお湯を捨てなくてよい。
それに比べてカップ焼きそばは、3分たった後にお湯を捨てなければならない。
しかし袋の焼きそばしか作ったことのなかった僕は、その時『お湯を捨てる』という発想に至らなかったんだ。
(もちろん説明書きなんて読まない)
3分経ってふたを開けて、僕は思ったね。
「しまった、お湯を入れすぎた…」ってね。
(おいおいどんだけ入れすぎてんだ)
そりゃそうだ。
本来なら、今からお湯を捨てるという動作に移らなければならないんだから。
ばあちゃんは、「ラーメンじゃなかとね?」と大爆笑している。
悔しい僕は、そのままソースを入れて無理矢理食べたんだ。
ソースラーメンを。
「これはこれで美味しいよ」
無理があった。
(僕はそれ以来カップ焼きそばを食べない)
だから、
今回の電子レンジグルメは、説明書きもちゃんと読んだし。
なんとしても成功させなければならないのだ。
チン!
おお〜
出来たよ!電子レンジグルメ〜
取り出してそっとふたを開けてみた。
しかし、
全然変化がないのである。
何だか嫌な予感がしてきた。
もう一度レンジに入れ、今度はおもいきって10分くらいに設定してみた。
ジジジジジジ…
おかしいなー
おかしいなー
おかしいのは当然であった。
僕が電子レンジだと思っているのは、オーブントースターなのだから。
僕の家のオーブンは大きくて、CMの電子レンジに似ているし。
なんといっても決めては「チン!」となる。というところだった。
チン!となるものなんてそうそうないよね?
まあよく考えれば、電子レンジなんてものはまだ普及しきってなく、そんな物が家にあるわけなかったのだが。
ああ、悲しき勘違い。
少年ありけんはまだ気づかないんだ。
やがて、電子レンジグルメに変化があらわれはじめた。
プラスチック容器がとろけ始めたのである。
…
人間も動物である。
動物とは、本能的に危機を察する力を持っている。
そう、少年ありけんもこの時漠然的な危機を感じたのである。
ジジジジジジ…
さらに、プラスチック容器はチーズのようにとろけ始めた。
あわわわわわわー
「けんちゃん!煙が出ようばい〜!」
ばあちゃんも大あわて。
はわわわわわー
ジジジジジジ…
「煙がでようばい〜!」
はわわわわわー
覗き込んだオーブンの中にあったのは、
『ホカホカの電子レンジグルメ』ではなく。
『モクモクの有毒ガスずくめ』だった。
このとき少年の心が深く傷ついたのは言うまでもないだろう。
よくグレずに育ったもんだ。
このしばらく後、光ゲンジがCM出演する「チンチンマジカルポテト(名前は自信がない)」という魅力的な商品が出たが、さすがに買わなかった。
「これチン!してください」
「チン!すればおいしいよ」
「チン!しますか?」
現代、チン!とは電子レンジの代名詞と言っても過言ではなく、それは生活に欠かせない大切な存在になっている。
すごい進化だし、素晴らしいことだ。
まさに未来。
しかし、その昔起こった悲しい出来事も。
僕らは忘れてはいけない。
(しかしこの後、大人の階段のぼる予備校時代。ありけんは性懲りもなく『電子レンジカップラーメン爆発事件』を起こしてしまうのである)
【西東京は飛田給。朝早い歩道にて】
はらはらと一斉に舞い散る初冬に、ハナミズキ
【荒川の屋上より、南の世界へ】
強い風と寒い一日がくれた、ちょっとしたプレゼントやね。
【12/24(土)西荻窪BINSPARK。クリスマスライブより】
はやー
21世紀になる!と騒いでいたのもかなり前のことのように思えるよね。
子供の頃、21世紀には車やバイクは空を飛んでいる!と思っていたのだけれど、さすがにまだ無理みたい。
まーしかし、電話から線がなくなっただけでもすごいよね。
昔に作られたあるSF映画の中。
宇宙船から降りた男が公衆電話に向かう、というシーンがあった。
ビーム砲や瞬間移動は想像できても、携帯電話は想像できんかったっちゃろうね。
そう考えると、『僕らは未来にいる』とも考えれる。
例えば電子レンジ。
火もないのに、たった数秒でチン!
クツクツになるとよ。
理屈は分かっているんだけど、不思議よね。
いつも感心してしまう。
子供の頃、『レンジでチンするだけ!電子レンジグルメ』
というCMがあった。
すごい商品が出てしまった…。
そう思った少年ありけんは、すぐに片道20分かけて近くのスーパーまでチャリをとばしたんだ。
そう、新発売『電子レンジグルメ』を手に入れてきたのである。
ふふふ…
なんてったってレンジでチンするだけだからな。
僕は説明書きを読み、早速レンジのダイヤルを回した。
ジジジジジジ…
ふふふ。
僕はレンジの前に両肘をついて様子を見ていた。
近くにいたばあちゃんも一緒に覗きこんでいる。
「こんなんで出来るとね?」
疑うばあちゃんに、僕は得意になって言う。
「まー見ときーよ!」
以前のカップ焼きそば事件の挽回も兼ねて、ばあちゃんにはいいところを見せたかった。
『カップ焼きそば事件』…
それはさらに幼少の頃の話。
初めてカップ焼きそばというものを買ってきたんだ。
嬉しくてしかたなかった。
なんてったってお湯を入れるだけで焼きそばが出来るんだからね。
「そんなんで出来るとね?」
疑うばあちゃんの前で僕はやっぱり得意である。
いつも作るインスタント袋焼きそばは、麺が水分を全部吸いとってくれてお湯を捨てなくてよい。
それに比べてカップ焼きそばは、3分たった後にお湯を捨てなければならない。
しかし袋の焼きそばしか作ったことのなかった僕は、その時『お湯を捨てる』という発想に至らなかったんだ。
(もちろん説明書きなんて読まない)
3分経ってふたを開けて、僕は思ったね。
「しまった、お湯を入れすぎた…」ってね。
(おいおいどんだけ入れすぎてんだ)
そりゃそうだ。
本来なら、今からお湯を捨てるという動作に移らなければならないんだから。
ばあちゃんは、「ラーメンじゃなかとね?」と大爆笑している。
悔しい僕は、そのままソースを入れて無理矢理食べたんだ。
ソースラーメンを。
「これはこれで美味しいよ」
無理があった。
(僕はそれ以来カップ焼きそばを食べない)
だから、
今回の電子レンジグルメは、説明書きもちゃんと読んだし。
なんとしても成功させなければならないのだ。
チン!
おお〜
出来たよ!電子レンジグルメ〜
取り出してそっとふたを開けてみた。
しかし、
全然変化がないのである。
何だか嫌な予感がしてきた。
もう一度レンジに入れ、今度はおもいきって10分くらいに設定してみた。
ジジジジジジ…
おかしいなー
おかしいなー
おかしいのは当然であった。
僕が電子レンジだと思っているのは、オーブントースターなのだから。
僕の家のオーブンは大きくて、CMの電子レンジに似ているし。
なんといっても決めては「チン!」となる。というところだった。
チン!となるものなんてそうそうないよね?
まあよく考えれば、電子レンジなんてものはまだ普及しきってなく、そんな物が家にあるわけなかったのだが。
ああ、悲しき勘違い。
少年ありけんはまだ気づかないんだ。
やがて、電子レンジグルメに変化があらわれはじめた。
プラスチック容器がとろけ始めたのである。
…
人間も動物である。
動物とは、本能的に危機を察する力を持っている。
そう、少年ありけんもこの時漠然的な危機を感じたのである。
ジジジジジジ…
さらに、プラスチック容器はチーズのようにとろけ始めた。
あわわわわわわー
「けんちゃん!煙が出ようばい〜!」
ばあちゃんも大あわて。
はわわわわわー
ジジジジジジ…
「煙がでようばい〜!」
はわわわわわー
覗き込んだオーブンの中にあったのは、
『ホカホカの電子レンジグルメ』ではなく。
『モクモクの有毒ガスずくめ』だった。
このとき少年の心が深く傷ついたのは言うまでもないだろう。
よくグレずに育ったもんだ。
このしばらく後、光ゲンジがCM出演する「チンチンマジカルポテト(名前は自信がない)」という魅力的な商品が出たが、さすがに買わなかった。
「これチン!してください」
「チン!すればおいしいよ」
「チン!しますか?」
現代、チン!とは電子レンジの代名詞と言っても過言ではなく、それは生活に欠かせない大切な存在になっている。
すごい進化だし、素晴らしいことだ。
まさに未来。
しかし、その昔起こった悲しい出来事も。
僕らは忘れてはいけない。
(しかしこの後、大人の階段のぼる予備校時代。ありけんは性懲りもなく『電子レンジカップラーメン爆発事件』を起こしてしまうのである)
はらはらと一斉に舞い散る初冬に、ハナミズキ
強い風と寒い一日がくれた、ちょっとしたプレゼントやね。
by a_kessay | 2005-12-31 02:35